イメージ 1
Nepenthes ephippiata - clone G.Raya / Borneo Exotics

 先冬が残した爪痕は深かった。今年のウツボカズラは不作ばかりで嫌になる。
私が住む地帯は冬季の間約4ヶ月間ずっと分厚い雲が停滞しているので温室の中が真っ暗だ。単純に考えればLED育成灯を10時間ほど照射すれば良さそうに思えるが、照度を上げると日中の温度も20℃以上上げてやらないと障害が起こる。 
冬季の当温室は低地性で最低温度15~17℃、高地性で最低温度10℃に設定している。
それでも日中も陽が入らない僅か5坪の温室の油代は最高で月7万円に達する。
これが限界である。もし今より+5℃を維持するとなると燃料費は15万円/月は確実だと想うし、5坪をLED育成灯で10時間以上照射するとなると設備投資もランニングコストも現実的じゃなくなる。
これが限界なのである。 故に冬季の間は植物体を維持出来る最低温度に設定し成長を停めさせる。そして遅めの春を迎え夏季に一気に育成する様にコントロールする方法を見つけた。
しかし・・・先冬の環境は酷すぎた。去年早い内から上空に分厚い雲が停滞しはじめ、今年も4月頃まで毎日曇ってた。 長過ぎた冬に植物はボロボロ。未だ嘗て経験した事が無いほど弱らせてしまった。 高山性種の殆どが6月頃になって動き出したが展開する葉は去年の1/3程のものばかり。夏季の生育最盛期になっても去年より小さいままの個体ばかりの不作。
低地性種は10月現在になっても未だ1枚~2枚目の葉を展開する始末でヒョロヒョロの小さな葉。沢山ある美しいラフレシアナはどの株も今年は一つも袋を着けるまで回復していない。
もう既に太陽の角度が低くなり、温室に差し込む日照は少なくなった。
もし次の冬が暖冬にならなければ低地性種はもう駄目かもしれない・・・・・

イメージ 2
 18th.Apr.2013 N.ephippiata - clone G.Raya / Borneo Exotics
さて、今回の栽培記録はネペンテス・エフィピアタ。マレーシアのボルネオ島サラワク中心部のラヤ山、ホセ山及びBk.レサングの高山帯に自生しているウツボカズラ。 
ボルネオの代表的な高山性原種は北側に面したキナバル山付近に集中しているが、本種が自生している更に中心部へ南下した高山地帯は入山を拒む未開の地であり、本種の詳しい生態が未だに殆ど判っていない。
本苗はスリランカのBorneo Exoticsが販売しているラヤ山のクローンである。
前回の栽培記録から4年半ブリの記録になる。

イメージ 3
 22th.Aug.2013 N.ephippiata - clone G.Raya / Borneo Exotics
私は本種をそれぞれ異なる3つの個体しか育てた事が無いが、近縁種のN.lowiiと比べると育成はとても簡単だと感じる。
他のネペンテス同様に耐陰性は無いが冬季の低温(約10℃前後)と日照ゼロを数ヶ月間過しても葉のクロロフォルムは然程壊れない様で、春からの立ち上がりも割りとスムーズな方だと感じる。

イメージ 4
 20th.May.2016 N.ephippiata - clone G.Raya / Borneo Exotics
で、上の2013年8月の画像から3年間全く写真が無いし植物体も然程大きくなってない。
2013年夏と云えば忘れもしない。私の判断ミスによりたった1日で高山性ネペンテスを沢山失った夏だった。 その後2014年秋は脳腫瘍で手術。 入院中にまた沢山のネペンテスを失い、生き残った株も瀕死の状態のものは少なくなかった・・・
まあ平たく云えば失敗続きで上手く栽れなかったって事。
それでも本種は近縁種のN.lowiiと違い全く神経質な面が無く強靭なので、私の不精で杜撰な放置管理でも日照さえあれば直ぐに元気良く生育してくれる。

イメージ 5
 20th.May.2016 N.ephippiata - clone G.Raya / Borneo Exotics
N.lowiiがズングリした様な捕虫嚢。捕虫嚢の蓋の裏には髭がビッシリ生える。
N.lowii同様に日照さえあれば袋着きは良い!

イメージ 6
 20th.Aug.2016 N.ephippiata - clone G.Raya / Borneo Exotics
去年の8月。日照さえあれば一気にでかくなる。 時系列で写真を見ると色々想う。
もし私の住む土地の冬が晴れる場所なら・・・ 今の生育速度の3倍は早く育つだろうなとか。冬季の暖房費は今の1/3程でももっと暖められるだろうなとか・・・
皮肉な事に暑さに弱い高山性ネペンテス育成の最盛期がどうしても真夏になってしまうというのは悲しすぎる・・・

イメージ 7
 4th.Jun.2017 N.ephippiata - clone G.Raya / Borneo Exotics
で、今年6月。強靭な本種は春から立ち上がりも早い… と云いたいところだけど、それでも先冬の環境は酷過ぎた。 茎は細くなり葉も小さい・・・
当温室ではN.ephippiataはマシな方。今年はN.lowiiやN.macrophyllaですら真夏の最盛期ですら生育が悪く去年よりも一回り以上小さくなってしまった・・・
今年はネペンテス栽培が本当に面白く無い年になった

イメージ 8
 4th.Jun.2017 N.ephippiata - clone G.Raya / Borneo Exotics
傷んだ体でも陽をタップリ浴びて一生懸命に捕虫嚢を着けてくれるエフィピアタ。
この下位袋はなかなか興味深い形をしている。この奇抜なデザインは交配種にはない原種だけが持つ魅力。
しかし長い間、国内外のウェブで本種の苗を買って育ててるって話を観ないな・・・?
こんなに素晴らしい原種なのにね。 それを云うとN.lowiiもか。 
わが国の人間は基本的にミーハーばかりなのが面白く無いなあ。
音楽もファッションも食べ物までも『流行』・・・ ネペンテスにまでも『流行』があるんだからなぁ・・・
本当に自分が良いと想ったものを極める。 それが一番面白いんだよ。

イメージ 9
 4th.Jun.2017 N.ephippiata - clone G.Raya / Borneo Exotics
捕虫嚢の蓋裏面にあるこの剣山は何の為にあるのだろうか。 剣山の間には無数の蜜線がある。 捕虫嚢が熟すと蜜線から白いムースの様な分泌物が出てくる。
この剣山はムースが落ちない為ののものなのか? ムースを舐めに来るリスが一気にムースを食べ尽くさない様に施された細工なのか。
その両方なんだと想う。

イメージ 10
 N.ephippiata - clone G.Raya / Robert Severitt
Robert Severitt氏の栽培品。G.Raya由来のクローン。 本記事のN.ephippiataも同じ上位袋を着けてくれると想う。
私はこのムンクの叫びの様な上位袋が大好きだ。
現在はこの単一クローンしか見掛けない。 昔、本種の初売りフラスコ苗は無菌播種の実生個体だったので、昔は色んな個体があって、上位袋の個体差を見掛ける事もあったけど、現在はそれらを維持している人を全く見掛けなくなった。
本種は近縁種のN.lowiiと違い挿し木が困難だとされている。 それが実生由来の成熟した挿し木増殖品の流出を拒んでいるのだろうか・・・

イメージ 11
 N.ephippiata - seedling G.Hose / Exotica Plants
これはオーストラリアの老舗エキゾチカ・プランツ(以下EP)が維持しているホセ山由来のエフィピアタ。 我々が一般的に知る個体群とは形が大きく異なる。
N.lowiiとN.ephippiataの中間的な形をしている。
昔、私はどうしてもホセ山由来のN.ephippiataが欲しかったが、持っているナーセリーや趣味家は皆無で、唯一EPだけがホセ山由来のN.ephippiataを所有していた。
EPのこの個体はとても大きく徒長し分岐もしていたのでお金を積めば枝を切ってくれるのでは?と想い色んなアプローチをしたが売って貰えなかった・・・
今は海外オークションサイト等でもホセ山の実生苗が手に入る時代になったし、SNSでも海外の愛好家がN.ephippiata G.Hose のアダルト株の栽培品写真をUPしているのを見掛ける様になった。
私が苦労して辿り着いていた事も、現在では簡単に良いものが手に入る様になった。
良い時代になったが何だか寂しい・・・ 

イメージ 12
 30th.Sep.2017 N.ephippiata - clone G.Raya / Borneo Exotics
今現在の植物体。約7年育ててまだこの草姿。 本種は強靭で育成にストレスを感じない、
それでも失敗続きで成長が緩慢。 先冬の影響で本夏は大して株の直径も変っていない。
茎も細くなってしまい葉も元気が無い。 それでも来年辺りは上位袋が着くんだろうな。
植物体の元気が少ないから小さな上位袋になると想うけど、もし上位袋が出来たら素直に嬉しいな。 私は未だ本種の上位袋を見た事が無いからだ。昔育ててたN.ephippiataは素人ながらも大切に育てて直径20cmほどまでにしたけれど、引越しの間に枯死させてしまった。 本苗はその後2010年に新たに導入したBEのクローン。
BEから輸入して箱を開けると小さな苗の茎が折れて切断されて届いていた・・・
不本意ながらも小さな挿し木から始めたこの苗も時間の経過でこんあに大きくなった。
私の末っ子P-仔♪よりも年上なんだね・・・ 植物栽培って人生そのものだよなあ。



~ 今日の音 ~
MC Hammer - U Can't Touch This
 MCハマーの『U Can't Touch This』! 間違いなく、この曲が国内においてラップ、そしてニュースクールHIP HOPに市民権を与えた事は間違い無い。
48歳の私が18歳だった頃は日本でラップを知るのはマニアしかいなかった。
当時の日本はユーロビート一色だった。 私は音キチで海外の音楽ばかり漁ってたのでブラックミュージックも少し聴いてたが当時はRUN-D.M.CやPUBLIC ENEMY等を聴いてたくらいで、回りにラップなんて聴く奴は誰も居なかった。
そんな中、MCハマーの『U Can't Touch This』が世界中で大ブレイク!
国内でラップミュージック、ヒップホップが一気に広がった瞬間だった。
まさしくラップ・ビッグバン!
あれから約30年近く経つ。 今聴いても心地良い音だねゑ~





~ わたしのかぞく ~
イメージ 13
末っ子P-仔♪(ついで私の)の誕生日
P-仔♪は6才になったよ。
私の誕生日は末っ子P-仔♪と4日しか変らないので、いつも合同でされる。
子供の誕生日はチキンやフライドポテトがタップリ出てくる。
美味しいねゑ
2歳の時に成長ホルモン分泌不全性低身長症(小人症)と診断され
毎日ホルモン注射を欠かさず打ち続けている。
おかげで小さいながらも少しずつ大きくなってきた。
このまま伸び続けてくれる事を祈りたい

イメージ 14
グレムリンの様に悪くてラーテルの様に怖いもの知らずのP-仔♪
誕生日プレゼントは3ヶ月以上前から『メルちゃん』のお人形が欲しいと
呟いていた。毎日の様に私にカタログを見せてくる。
しかしメルちゃんとかポポちゃんって3歳児くらいの子が遊ぶおもちゃないの?
まあ大切にしてるから良いか。

イメージ 15
P-仔♪の運動会
ちっちゃいけど走りは速いねっ
幼稚園最後の運動会
愉しかったのかな~?
来年は小学生ですね。嬉しい様な寂しい様な・・・

イメージ 16
おれ
みんなにお爺ちゃんになったと云われるよう・・・・・
病院ばっかし。診察・検査ばかりで毎月の医療費が結構掛かる。
ローンで普通乗用車が買えるくらい掛かってるよ
現在蓄膿症の手術を控えているが
脳神経外科の先生から手術を停められた・・・
前回の手術で頭蓋骨に損傷があるので普通のアプローチで
蓄膿症の手術を行うのは危険だと云われた・・・
総合医療センターでの手術を勧められている。
あ~また検査尽くし・・・ たかが蓄膿症の手術なのに・・・
また費用が掛かるなぁ
まだ独身の頃は強靭な肉体を誇っていた。
病院なんて行かないのに毎月支払う高い健康保険料に怒りさえ覚えていたが
今はお世話になりっぱなし・・・ スミマセン・・・