イメージ 1
Hydrolycus armatus

 今月6日からの舞鶴出張愉しかった。現場調査と見積の為に一時大阪に帰ってる。
明日からまた舞鶴出張。 そして来週からは名古屋出張がある。愉しみだ。
長女が『いかないで・・・』と云うが、仕方無い。末っ子の発表会と長女の誕生日は一緒に過せないかもしれないな・・・
 
 さて、今回はお魚の話。私は魚が大好き。食べるのも大好きだし、釣りも大好き。そして飼育するのも大好き! 子供の頃から植物や魚類を飼育して来たけど、どちらかと云うと植物よりも魚類の方に夢中になってた。1989年頃、熱帯魚店を開きたいとずっと考え、1991年、修行の為に大阪の有名店に勤めていた時期もあった。半端無くお金を注ぎ込み家の中が巨大水槽だらけになったが1995年の阪神大震災で壊滅・・・ その後は規模を縮小して1匹のアジアアロワナとマユゲエイ、そして水草水槽を細々と続けていたが、その後1997年、長野オリンピックの関係で4ヶ月間の出張があり、魚の世話を家族に託して出張したが、帰って来たら魚は当然死んでた・・・
以降、熱帯魚趣味を封印・・・。 しかし好きなものは変らない。時々熱帯魚店に行っては溜息をつき、ウェブで現地個体の画像を観たり、人様の飼育している個体の動画を指をくわえて見ては悶々とする日々を送り続けている。
そう私は熱帯魚の飼育をしていない。なのに何故、こんな記事書くのか?
飼えなくて悶々とする日々を送るよりブログにでも書いて、飼っているつもりになって満足感を得ろうという魂胆なのである。 なんとも哀れな感慨であるが抑えられない気持ちはどこかで放出するしか無いのである・・・
 と云う事で今回は南米牙魚の一つカショーロの事を綴って飼育しているつもりになろうと想う。

イメージ 2
 1992年頃 ドラド・カショーロ Rhaphiodon vulpinus
この頃は東大阪のピュア・ブラッドという熱帯魚点に勤めていた頃で、南米直輸入の沢山の魚と出会う事が出来た。5cm程のメダカの様なドラド・カショーロを何匹か育てたよ。 速攻で大きくなったけど。

イメージ 3
 ドラド・カショーロ Rhaphiodon vulpinus
このギラギラ光る剣の様な魚体が堪らなく格好良い!
とても小さな幼魚だったけど、カショーロの成長は毎日その差が判る程とても早い。
極小の幼魚だったので水草水槽で保護しながら育てたんだけど、1ヶ月も経たない内に20cm程に育ったので、この後1,800x600x600の水槽に移した。
水草水槽のセンタープラントはレースプラント Aponogeton fenestralis。フェネストラリスは凄く巨大になるレースプラントであまり美しいとは想えない。 レースプラントはやはりAponogeton henkelianusしかないね。3種あるレースプラントは地域変異体とされAponogeton madagascariensisに統合された。

イメージ 4
 ドラド・カショーロ Rhaphiodon vulpinus
30年程前からドラド・カショーロ(黄金の犬魚)と呼ばれて流通している本種だけど、実は現地ではドラド・カショーロとはトーピードパイク等のパイクカラシンを指す呼称であって、本種の正しい呼び名はカショーロ・ファッコン(ナイフの犬魚)と云うらしい。 怪魚を釣上げて食する若者としてTVによく出演されてる平坂寛さんが言うんだから間違い無い。 彼は何度も現地に足を運んでいるからね。
それにしてもワイルド個体のこの魚体は素晴らしい・・・・・

Almost bit by a Vampire fish by Rusty Johnson

イメージ 5
 ドラド・カショーロ Rhaphiodon vulpinus
ドラド・カショーロの頭部。ギラギラ光る太刀魚の様なシャープな体魚体にこの顔付。鋭い目に厳つい牙! 堪らないなぁ!

 カショーロを知ったのは今から約35年位前、僕が中学生の時。アクアライフ誌でその厳つい魚が初めて紹介された。未だ飼育例も無い未導入の魚に僕は夢中になった。それから直ぐに大阪東三国の熱帯魚店'アフリカ'の社長が南米に飛び、60cm程のドラド・カショーロとペーシュ・カショーロを持ち帰った。僕は速攻で熱帯魚店'アフリカ'に行き、生のカショーロを見て衝撃を受けた。深海魚ホウライエソの如き鋭くとがった大きな牙! こんな魚が淡水に存在するんだ!? 価格は1匹20万円だったと記憶する。決して買える金額じゃないし、この巨体を育てる水槽も技量も無かった。数時間カショーロの水槽を眺めていた。途中で昼ご飯を食べに行き、また'アフリカ'に戻ってカショーロの水槽を眺め、悶々とした気持ちで帰った記憶がある。
それから数年間、カショーロの輸入は'アフリカ'が輸入した一例だけであった。欲しくて堪らなかったが、全く流通せず、輸入されたとしても数十万もするんだろうな・・・と学生時代は夢の魚であった。
その後、1990年を過ぎた頃、南米で続々と新種ナマズが発見され、数多くの新種ナマズに混じってカショーロが沢山輸入される様になった。

イメージ 6
 画像上:ダルマ・カショーロ Cynodon gibbus
1992年頃、未だ学名もついて無かったと想う。関西ではブラックスポットカショーロとして売られていた。大体\39,800-位で売られていた。見た事もないカショーロで、こいつも巨大になるのか!?と期待に胸を膨らませてお金を掻き集めて買った。
 画像下:ペーシュ・カショーロ Hydrolycus scomberoides
夢のペーシュ・カショーロである。この魚体にどれだけ憧れた事か! 魚体に傷が目立つが、これは奥に少し写っているアルマータス・カショーロによるもの。

イメージ 7
 アルマータス・カショーロ Hydrolycus armatus
1992年当時は本種に学名が無かったと想う。当時、南米直行便で色んなカショーロが入って来たが、大凡はペーシュ・カショーロ、ドラド・カショーロ、レッドフィン・カショーロ、ブラックスポットカショーロであった。 当時、直行便の中に風変わりなペーシュ・カショーロが居た。ペーシュにしては少し細長い魚体で鮎の様な色合い。ヒレが分厚く大きい。そして肉厚で下品な顔付。まだ5cm程の幼魚であったが早速持ち帰って育ててみる事にした。余りに小さかったので最初は1,800水槽の中で隔離して育てたが、3週間もすると15cm程に育ったので他のカショーロと混泳で育てた。
カショーロは基本的に大人しく、口に入らないサイズの魚には攻撃をしないと感じていたが、本種は違った。自分より大きな魚に体当たりしたり噛み付いて威嚇したり。気性が荒く成長がとても早いので何とかしないと・・・と想いながらも別に大きな水槽を用意する資金力も無く、現状維持しか術が無かった。
ドラド・カショーロが噛み殺され、続いてペーシュ・カショーロ、ブラックスポットカショーロがアルマータス・カショーロに相次いで噛み殺された・・・ ブラックスポットカショーロの一匹は体が真っ二つになって死んでいた・・・
余りに腹が立った僕はアルマータス・カショーロを処刑した・・・ 
そんな環境を作った僕自身が悪いのに・・・ 魚には何の罪もないのに。 ごめんね・・・


イメージ 8
Familia Cynodontidae
 キノドン科に属するカショーロの仲間。 下段左からペーシュ・カショーロ Hydrolycus scomberoides、アルマータス・カショーロ Hydrolycus armatus、レッドフィン・カショーロ Hydrolycus tatauaiaの3種が近縁種である。サイズ表記は間違いであり、どの種もかなり大型化する。この3種は幼魚の内から明確な特性があり、見た目で直ぐに判別する事が出来る。しかし成魚になった時の見分けが分からない・・・
誰も分からないんだと想う(レッドフィン・カショーロ については割愛)。
一節によると、タパジョス河やシングー河等のアマゾン河水系に生息する個体群をペーシュ・カショーロとし、コロンビア、ヴェネズエラ等のオリノコ河水系の個体群は最大種であるアルマータス・カショーロとされているが、実際のところどの水系にも1mを超えるアルマータス・カショーロが生息している様だし、逆にペーシュ・カショーロの成体がどれなのかが分からない。水槽でペーシュ・カショーロを成体まで育てた事例を知らないので、成体の姿が分からないと云うのもあるが、ペーシュ・カショーロも大きく成ると鰓の横にある黒い色素がアルマータス・カショーロの様に強く出てくるみたいだし、顔も肉厚になってくる。 またゲーム・フィッシュのターゲットであるカショーロは釣られると抱えられて写真を撮られる場合が殆どなので、重みで魚体が折れ曲がり、両種の体高や腹鰭の位置を確認出来る写真が殆ど無い。

イメージ 9
 画像上:ペーシュ・カショーロ Hydrolycus scomberoides
 画像下:アルマータス・カショーロ Hydrolycus armatus
若い個体であるが、この写真でも一目瞭然で両種の特性が判る。体高も体長も色合いも違うし、ヒレの大きさや分厚さ、腹鰭の位置も違う。顔付も全く違う。
また気性の荒さは桁違いでアルマータス・カショーロの方が凶暴。

 2014 1/12 Hydrolycus scomberoides 栃木県なかがわ水族園
 由来が正確だと想えるペーシュ・カショーロの動画。ペーシュ・カショーロの大きな個体はこの個体しか知らない。よく観察してみると・・・
イメージ 16
 2014 1/12 Hydrolycus scomberoides 栃木県なかがわ水族園
ペーシュ・カショーロも成体に成るにしたがい魚体が少し伸び腹鰭の位置が少し下に下がるようだ。鰓の後にある黒い模様も広がり、かなりアルマータス・カショーロに近い魚体になる様である。若干背中が丸みを残し、頭部の吻部の形状がアルマータス・カショーロと違うが、真相はよく判らない・・・ 
ただ、なかがわ水族園はこのペーシュ・カショーロとは別に最近アルマータス・カショーロを導入しているところと、大型カラシンに詳しい水族園だと想うので、この個体がペーシュ・カショーロ Hydrolycus scomberoidesとしての信憑性が高いと想う。

イメージ 10
 画像上:ペーシュ・カショーロ Hydrolycus scomberoides
現地で捕獲された若い個体。ペーシュ・カショーロが最も格好良い魚体だと感じている。また顔付も堪らなく素晴らしい~
 画像下:アルマータス・カショーロ Hydrolycus armatus
最大、最狂種であるアルマータス・カショーロとブラジル美女。ブラジルの女性は良いなぁ~ グランデ・オガワ先生のブログから拝借させて戴きました。
松坂寛氏と双璧をなすグランデ・オガワ氏の記事はとても勉強になります。 このお二人のお陰で熱帯魚業界がここまで充実した世界になったんだよ

イメージ 11
 ペーシュ・カショーロ Hydrolycus scomberoides
現地のアダルト個体。アルマータス・カショーロとの相違点が判り難いなぁ~・・・
下の個体はアルマータス・カショーロに見える。 ペーシュ・カショーロはポルトガル語。Peixe Cachorro = 犬の魚(犬歯魚)って意味。属名のハイドロリックスは聴こえが格好良いけど、種小名のスコンベロイデスの意味は・・・アジ・・・ もうちょっと格好良い意味の種小名にして欲しかった・・・

イメージ 12
 ペーシュ・カショーロ Hydrolycus scomberoides
まだ若い個体だけど充分な魅力! 約50cm位かな?水槽でもこのサイズまでなら充分育てられる。どうする?いっちょ育ててみる!?
あ~段々と育ててる気持ちになってきた~ 書いてるだけで・・・

イメージ 14
 アルマータス・カショーロ Hydrolycus armatus
最狂・最大種のカショーロ。種小名のアルマータスは’武装した’と云う意味。
この牙を持ち、気性の荒さは正しく’武装した犬牙魚’ 現在最も人気の高いカショーロ。1992年当時、本種がここまで巨大になる魚だとは誰も知らなかった。当然、学名も無かったと想うけど。 当時はカショーロの類は大きくとも50cm程だと考えられていたんだけど、まさか1m20cmを超える魚だったとは!

イメージ 13
 アルマータス・カショーロ Hydrolycus armatus
現地のまだ少し若い個体。危ないよ! 噛まれたらどうするんだよ!

餌の時間 75cm アルマートゥスペーシュカショーロ by riorio 840003

2 foot Armatus feeding by nc 33017
 何と云う迫力! こりゃ堪らんわい! 実は僕は’残酷’という理由から生餌を与える事が出来ない。こんな事を云ったら、偽善者の独り善がりでしかないんだけど。
昔育ててたアジアアロワナや淡水エイは餌付けしてスーパーで安売りしてるイワシをあげてたんだけど、やっぱり、肉食系の魚は生餌食べたいよねゑ・・・
どうせ仕事も忙しいし、出張入ったらエサもあげれないし、僕には魚を飼う資格はないんだと想える。
それにしても他人様の動画を眺めて、飼育の疑似体験をしている僕は何て悲しいんだろう・・・
でも、これで欲望を制御出来るんだから、僕という人間は何て安上がりなんだろう。最高の幸せ物だね。 いつかカショーロを飼育している人がウェブで検索して此処に辿り着くだろう。その人に言いたい! この記事を読んでも哀れだと想わないでね!
育ててもいない癖に他人が育ててる魚を観て、育ててる気分になれるなんて、何て幸せ者なんだコイツは!と想って下さいね

イメージ 15
 アルマータス・カショーロ Hydrolycus armatus
川にこんなの居たらどうする? 怖いなあ! 本当にカショーロって格好良いよな!
育てるのは無理っぽいから、南米釣りツアーに参加しようかなと考えてる。この牙魚を釣上げたい! そして食べてみたい! 今の夢はそんなところ




~今日の音~
SlipKnoT - The Blister Exists
やはりスリップはノット渋いよなぁ!
この曲のパーカッションのパートがなかなか格好良い!