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 Nepenthes macrophylla - Mt.Trus Madi clone / WISTUBA Exotische Pflanzen
 
 先日この春最初の袋が付いた。 割と大きな袋だったが次の袋はもっと大きくなる。 
しかし私はAWの本種についての事を再認識した上でとても凹み、一時栽培意欲が失せてしまった。 
5、6年前から Andrew Wistuba /  WISTUBA Exotiscle Pflanzen ( 以下 AW )の N.macrophylla クローンは
N.lowii の血が混ざっていると云う交雑疑惑が湧き上がり現在では其れが定説化している。
元々ネペンテスなんて遠い過去から交雑を繰り返し現存の姿をしていると想っているし、一つの原種にも色々な変種や変異体があるのでAWの N.macrophylla 交雑疑惑についても割りと軽視していた。
しかし私は本種に強い憧れがあり、本個体を大きく作りこんで行く毎に交雑疑惑を無視出来なくなってきた。
私の見解でも AW’s N.macrophylla は過去何世代か以前に恐らくは N.lowii と交雑しているのではないかと云う事を認識し、同時に激しく落胆してしまったのだ=3=3=3
しかし友人のボルネオ探検家や山田食虫植物農園さんに励まされ、AW’s N.macrophylla について
私なりの解釈をする事で再び本個体の育成に取り組む気持ちを取り戻せた。
海外のフォーラムで激論が繰り返された AW’s N.macrophylla について私なりの答えを書いてみる。
 
 
 
Nepenthes macrophylla / WISTUBA Exotiscle Pflanzen
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 画像上 : イギリスの Threeskins 氏栽培品      画像下 : アメリカ・コロラドの Jeremiah Harris 氏栽培品
 
画像の AW クローンは純血種と云われるものに比べて歯の数が多く、袋筒体の中位周辺にある筈の線の凹凸が浅く確認しずらい。
AW のクローンは2つあると聞かされているが両者の栽培品が同一クローンであるかどうかは判らない。 
画像上の Threeskins 氏のクローンは私のものとよく似ているが、本種が苗の時は袋の形状が著しく変化するので断定出来ない。
画像下の Jeremiah Harris 氏の栽培体は唇(襟)部分が波打っており交雑疑惑でも少し取上げられていた。
N.macrophylla 純血種では唇部が波打つ事が無いとされるが、交配疑惑相手の N.lowii 上位袋では唇部が波打つ事が時折あるが...........................
 
 
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 同じく Nepenthes macrophylla / WISTUBA Exotiscle Pflanzen
海外の栽培家の栽培品であるが歯の数も正常で大きな唇はとても立派! 
この栽培品だけを観ると N.macrophylla にしか見えないが唇が波打っていて胴体部の横線凹凸が浅い。
当方のクローンも直径15cm~25cm位の時は画像の栽培品の様に歯の数が少なかった。 
と云うか現在でも袋を付ける度に歯の数が多かったり少なかったり、、、、、
 
 
 
Nepenthes macrophylla -seed grow / Borneo Exotics
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 画像はスリランカの Borneo Exotics からリリースされた実生苗達。
画像左上は立てにそびえたつ唇と立派な歯が厳つくて素晴らしい!
画像右上は真っ赤な袋が鮮やかで美しい。 唇の形、歯の数は私のAW's と酷似しているが...................?
画像下左右は純血種と云われる形であり袋筒体中位部の横線の凹凸がはっきりと出ている。
実生苗は色々なものが出るので面白い。
 
 
 
その他由来の Nepenthes macrophylla
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 画像上 : ドイツの Christian Klein 氏の栽培個体   由来は不明だが実生系だと想う。
 画像下 : 東京の本田氏栽培品   ドイツの Thomas Alt 氏由来のクローン 
画像上 Christian Klein 氏の個体は毛深く短い袋筒体に大きな口と歯が魅力的。  当方AW’s クローンの
若い時の袋と酷似しているが袋筒体の横線凹凸がはっきりしている所が相違する。
画像下、本田氏所有の Thomas Alt 氏クローンは純血種と云われるタイプのものに近い袋。 
どれも未成熟な若い個体ばかりだが上記のものだけでも色んな個体差を見る事が出来る。
 *追伸 : 本田氏の N.macrophylla は現在既に徒長している! 
僅か3cmのフラスコ出し苗を僅か8年程で徒長させるとは流石!と云うよりキチガイですYO!!!!!!
やはり本田氏は高山性種ネペンテス栽培世界一のレベルです★★★
 
 
 
 ここからは野生個体の個体差を見てみることにする
今回はウェブ上から画像を引っ張ったが、野生個体画像の過半数は大変お世話になっている友人のボルネオ探検家の方から提供して戴いた。 氏には大変感謝致しております。
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 いわゆるピュア・ブラッドと云われているマクロフィラのタイプ
鮮やかな褐色の袋筒と大きく開いたティアドロップの真っ赤な唇と歯が素晴らしい☆
フィラメント状の歯が規則正しく並び、袋筒体には溶接をした様な凹凸がハッキリとした横線が入る。
 
 
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 同じく野生個体。
画像左はティアドロップの大きな口だが歯の凹凸が浅く、袋筒体は細かい毛で覆われている。
画像右は袋筒体が長く唇の淵がギザギザに尖り蓋の付け根部分は N.lowii 上位袋の様に反っている。
 
 
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 同じく野生個体の豊富なバリエーション
画像左上は純血種と云われているバリエーションと当方AW’s マクロフィラの中間的な感じ。
画像右上は袋筒体が少し捩れているが本田氏栽培品のものと良く似ている。
画像左下は純血種と云われるものと比べてみると見た目が大きく違うが何とも素晴らしい袋☆
画像右下は歯の凹凸が浅くマクロフィラと云うには物足りない姿だが袋筒体には証である線がはっきり出ている
 
 
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 画像左は唇がフラットで、純血種と云われるものとは全く違う風貌。
左の画像は袋がかなり立て長でまるで N.truncata の様な形をしている。
 
 
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 こちらでは更にバラエティーに富んだ袋が見れる。
ずんぐりしたたもの。 ボッテリしたもの。 唇が薄いもの。 歯の凹凸がとても浅いもの等色々ある。
 
 
 
Nepenthes x Trusmadiensis
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 画像上 : Nepenthes x Trusmadiensis ( N.lowii x N.macrophylla )
N.macrophylla N.lowii
との自然交雑種でありもっとも有名で格好良い自然交配種。  ネペンテス栽培家の憧れの的でもある。
トラスマディ山にはN.lowii N.macrophylla が混在しながら無数に自生しているが意外に交雑しにくいのか N.xTrusmadiensis の数は極めて少なくトラスマデイ山の特定の場所でしか見つかっていない。
 
 画像下 : 左 /    N.macrophylla            中央 /  N.lowii               右 / N.xTrusmadiensis
 
 
 
ここから下は純血種と云われる形とは全く違った袋を見てみる
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 ゴールデン・イエローの魅力的でマクロな袋!
一年の内 約1ヶ月前後をボルネオの高山を探索している探検家のお話では標高が高くなるにしたがいマクロフィラの純血種と云われている様な袋が少なくなり、逆にこの様に黄色く巨大な口を開く袋が多くなってくると云う。 更に云えば純血種と云われる形の袋の数自体が決して多い訳でもなく純血種と云われる形其のものも沢山あるバラエティーの一つに過ぎないと云う事だ。
 
 
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 標高の高い場所ではAW’s マクロフィラによく似た袋を見かける事が出来る。
画像左は友人のボルネオ探検家撮影。  右は Ch'ien Lee 氏が撮った画像を借りました。
 
 
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大きく開いた口が素晴らしい形の袋 !!!
標高の高い場所では純血種と云われる形を見る事が無くなりこの様な大口袋の形が主になってくるらしい。
何て素晴らしい袋の形なんだ! しかもこのタイプは凄く大きくなると云う事ダ!!!
*画像右下に『 Nepenthes x Trusmadiensis 』 とあるが間違いで、本当は Nepenthes macrophylla
 
 
  一年の内約一ヶ月前後もボルネオ高山で過し通年何千本ものネペンテス野生個体を直接見て研究されている友人の探検家の言葉も少し借りて下記に記してみる。
 
現地ではかなり多様な型の壷があります。
それらはだいたい群をなして生育していて地域ごとに分かれている様です。
頂上付近の方がより大型で過去に N.lowii が混ざっているような壷のタイプが多いです。
しかし明らかに N.x Trusmadiensis とは異なります。一線を画します。
現地で観察できるのは N.lowii N.macrophylla N.x Trusmadiensis があり、
N.lowii  N.x Trusmadiensis の中間種はなく、また N.x Trusmadiensis N.macrophylla
中間種もありません。
N.x Trusmadiensis の株本体は葉の形・毛深さ・大きさなど本当に丁度、N.lowii  N.macrophylla の中間を示します。
いわゆる交雑の疑いのある N.macrophylla は、正統種に比べてより大型で毛深くゴツイ傾向があり、
より N.macrophylla らしいというのが自分が観察した主観に基づく見解です。
高山性種、特に2000m以上に生息する株は交雑しにくいんじゃないのかな。とか、交雑しやすいんだったら
N.lowii から N.macrophylla にいたる段階的な変化を示す株が普通に観察できるはずだが現地にはまったく無いとか。 あるのは丁度中間の N.x Trusmadiensis だけ。
 N.rafflesiana N.mirabillis N.fusca 等は、N.macrophylla よりも激しく個体差がある。
N.macrophylla のほとんどが雑種ならば上記の種はどうなのか?など色々疑問は残ります 
 
 氏のお話はとても参考になる。 
是だけの個体差を見て想うのは、是はネペンテス全ての原種にも云える事だが、一つの個体群において種は
幾つものバリエーションを持ち、純血種と交雑種を明確に分ける事は難しいと云う事。
しかし特性の定義は必要であり、今回のAW’s Nepenthes macrophylla はどうなのか?と
是は私的見解であるがAW’s N.macrophylla は決してプライマリー・ハイブリットなんかではない。 
マクロフィラ原種であり、或はバラエティのひとつ、亜種として捉える事にして栽培を続ける事にした。
とにかく先ずは作りこんでステムを伸ばしてみてどんな袋をつけるのか。 愉しみが膨らむ♪
 
 
 
 
も う す ぐ 幼 稚 園 だ ね ゑ ♪
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 もうすぐ幼稚園の入園式♪ チーコ♪もO太もすごく愉しみにしているね!
ワクワクするねゑ♪  幼稚園で色んな事を学んでどんな風にそだってゆくのか愉しみだYO♪